いつものように保育園にあきぞうをお迎えに行き、習い事帰りのつねぞうと待ち合わせしてから、帰りの電車に乗り込んだ。ちょうど足の悪い老夫婦が乗ってらしたので、あきぞう&つねぞうに「立とうか」と声をかけてから、「どうぞ」と席をお譲りした。おばあさんがニコッと笑って、「ありがとう。立たせて悪いねえ」と言ってくれた・・・のだけれど、それにあきぞうが「いえ、若いですから!お気になさらず!」と、やけに流暢に返すのでビックリ。「そう? 偉いねぇ」「はい、すぐ降りますから! 僕たち、たった駅3つですから! 座っててもすぐ立たなきゃいけませんからー!」・・・いや、そこまで立て板に水とばかりに言訳しなくていいですよ・・・不自然なほどの口の回りように、周囲の人々もくすくす笑っていた。
電車を降りてから、「お母さん、僕、大人みたいにじょうずに言えたでしょ!」と得意顔でのたまっていたあきぞう。お前はあんなセリフをどこで覚えたんだ・・・やっぱり私かな? 私、いつもあんな言い方してる? と、良い事をした筈なのに何だか釈然としない心持ちになってしまった。

先週末から胃腸炎で、嘔吐こそ無いものの、お腹が渋っているあきぞう。トイレのたびにお腹が痛いと泣くので、はたで見ていても大変気の毒だ。
布団に横たわるあきぞうのお腹を、ヨシヨシと撫でてあげていると、あきぞうが「お母さん・・・ぼくとお姉ちゃんを産む時、お腹切って、痛かった?」と訊いてきた。自分の腹痛から、過去の母の出産(帝王切開)の痛みにまで思いを馳せたのだろうか。あの小さかった赤ん坊が、成長したなぁ!と感動してしまった。
「そりゃ痛かったけど、あきぞうとつねぞうに会いたかったから、お母さん我慢したよ」と返すと、「そっか・・・はさみでチョッキンされても我慢したの?」「うん(メスだけど)」「そうか・・・お母さんすごいねぇ・・・ぼくはダメだなぁ・・・」
いや、君が帝王切開する日は来ないと思うけどな。と思わず口にしかけたが、それでも、自分の痛みからそんな連想までするあたり、年月の経過を感じさせられる。
肝心の胃腸炎の方は、完治までもう少しかかりそうだが、何とかGWまでには快復してほしいものだ。

乳児の頃から昼寝をほとんどせず、体力に定評のあったあきぞうだが、最近それが頓にひどくなっている。保育園でも全く寝ようとしないで、「今日お昼寝しませんでした・・・」と先生に報告されるのも日常茶飯事。それで夜早く寝るかというとそうでもなく、めいっぱい運動した日でも、布団に入って寝つくまでに30分以上はかかる。まして普段の登園日など、入眠までに1〜2時間はザラ、という親泣かせっぷりだ。
しかも最近は、以前より親離れした分、親がいなくなるとこっそり本棚から本を取り出したり、オモチャを出して1人遊びしたり、ということまでするようになった。いやいや、ちゃんと寝ないと身長が伸びないよ、と言いたい。
今夜はとくに酷く、子供たちを寝かせた後こちらがくつろいでいるところに、パタパタと平和な足音をたててやって来た・・・襖を開けて言い放ったセリフはというと、「お父さんお母さん、まだ起きてるの?」・・・「お前がな!!」と思わず突っ込んでしまった私は悪くないと思う。ちなみに11時過ぎてました。
生活リズムを整えるために色々試してはいるのだが、やはり結論としては、体力があってなかなか眠くならない、という感じらしい。だからって、家の周りをうさぎ跳びとかさせるわけにもいかないし。悩ましいかぎりです。

いよいよホワイトデー、つねぞうは前日Sくんから「明日の帰り、○時に○○で待ち合わせな」と声をかけられたらしく、若干浮き足立って出かけていった。普段なら、体育でサッカーの試合がある日は、非常に憂鬱そうに出かけていくのだけれど、今朝はサッカーなど忘れたように歩調が軽かった。うーん、何といじらしい。
夕方、「Sくんから貰ったの〜」とハートマークを飛ばしながら、クッキー詰め合わせを持ち帰ったつねぞう。上機嫌で中身をあきぞうにも分けてあげ、2人でニコニコとおやつにしていた。クッキーはいかにも女の子が好みそうな可愛いもので、相手のお母様にも手間をとらせたなぁと思う。私も将来あきぞうがチョコ貰ってきたら、お返しを手配しなきゃいけないんだなぁと考えたが、そのためにはそもそもあきぞうがチョコを貰えないと話にならないか。

今日はバレンタインデーである。例年通り夫とあきぞう(&つねぞう)宛にチョコケーキを作る予定の私はともかくとして、つねぞうは同じ小学校のSくんにチョコを渡すのだと、そりゃもう張り切っていた。昨日、母と一緒にチョコチップクッキーをこしらえて(クッキーミックス粉を使ったが、特に問題もなく完成)、ラッピングもすませ、当日の今日は意気揚々と出かけていった。去年までは、「バレンタイン=お父さんにチョコをあげる日」な認識だったと思うのだが、今年は完全に父がSくんの二の次だ。こうして娘は父から離れていくのだな・・・。

学校ではお菓子のやりとりができないので、学童からの帰り道に、ちょっと寄り道してSくんのお宅にお邪魔する。幸いSくんが在宅していたので、首尾よくクッキーを手渡しすることができた。
しかし、小学校1年生の男子なんて、ちょうど悪ぶってみたいお年頃。女の子に手渡しなんてされた日には、照れ隠しに「へん、いらねーし!」なんて拒否しちゃうのではないかと懸念していたのだが、Sくん、そんな母の予想よりよほど男前の対応だった。「つねぞう? どうしたの何か用?」「今日バレンタインだから、クッキー作ったの」「チョコのやつ? おれ好きだよ」「そうなんだ、良かった。あげるね」「おう、ありがとう」・・・何だこの穏やかなやりとりは・・・!! 自分の知っている小1男子像と余りに差があったので、内心かなり衝撃だった。イマドキの小学生は男前だなぁ。それとも、東京の小学生だからだろうか。
あきぞうも、商店街のおばさんやつねぞうの友達からチョコをもらい、夕食後は皆で母作のチョコケーキを食べて、今年のバレンタインイベントは終了。ちなみにあきぞうに「バレンタインて何の日か知ってる?」と今更訊いてみると、「お菓子もらう日だよ!」との回答だった。「それじゃ、ハロウィンと変わらないんじゃない?」「ちがうよ、ハロウィンはかぼちゃのお菓子もらうの。バレンタインはチョコのお菓子をもらうんだよ」・・・まぁ、ほぼ合ってますな。うん。

トイレ掃除をしたついでに、先日特売で初めて買った「トイレスタンプクリーナー」なるものを試してみた。
http://www.scrubbingbubbles.jp/products/stamp/
このいかにもアメリカンなキャラクターは苦手なのだが、バスもキッチン周りも、このシリーズはなかなか使い勝手が良い。このスタンプクリーナーは、便器内にスタンプするとジェルが盛り上がって、全体を洗浄する効果があるとのこと。スタンプを済ませた後で、忘れてはいけない、あきぞうに厳重注意を促す。「これ、トイレをお掃除するものだからね、お薬だから絶対触っちゃダメだよ」「うん、わかった!!」笑顔で答えるあきぞう。
しばらくして、つねぞうが「お母さん、トイレに何かついてるよ・・・」と報告にきた。しまった、つねぞうに言うのを忘れていたか。「それはね、トイレをお掃除するもので・・・」「さわっちゃダメだよ、つねちゃん!」ここぞとばかりにあきぞうが割り込んできた。「そう、触らないようにしてね」「うん、さわっちゃダメ!! さわるとね、ヌルヌルするから!!」
お前、触ったんかい。
語るに落ちたことにも気づかず、得々と話すあきぞう・・・なんてお約束な展開だろうか。一応、再度触らないようには注意したけど、どうも我が家には不向きな清掃用品のようです・・・。

保育園からの帰り道、あきぞうがクイクイとコートを引っ張りながら切り出した。「お母さん、ぼく、弟が欲しい」。
・・・うん、まぁこの年頃の子は言いますよねー。と思いつつ、「お母さんはもう赤ちゃん産めないよ。つねぞうとあきぞうの時にお腹切っちゃって、痛い痛いだもん」と返す。しかし敵もさるもの、「うん、だからお母さん産まなくてもいいのよ」と答えてきた。ん?どういうことだ?と思っていると、続く一言。「産まなくていいから、赤ちゃん連れてきてちょうだい。1歳くらいの弟がいいの」
・・・あきぞう、それは世間一般で「誘拐」と言います・・・(犯罪!)。
ちなみに「何で1歳くらい?」と思ったが、「0歳赤ちゃんはすぐに寝ちゃうでしょ。だから1歳くらいがいい。僕、レゴ貸してあげるし、一緒のお布団で寝てあげるんだ!」とのことだった。保育園の赤ちゃんを見ながら、彼なりに色々考えたんだなぁ・・・と思うと微笑ましいが、さすがに乳児略取の罪を犯すわけにはいきません。残念ながら諦めてもらうしかないようだ。