訃報

はにかむように笑って、穏やかに話す子だった。出会った高校時代から、そのやわらかなイメージは変わらなかった。


辛い闘病生活を、家族のために必死に耐え抜こうとしていた。「娘のために生き残りたい」、同い年が口にするには余りに重い言葉を、やりきれなく聞いたことを覚えている。


彼女のブログの更新が止まって数日。心配していたところ、今朝になって、彼女の旦那さんの書き込みを見つけた。
「天国」の文字が、一瞬、初めて見る単語のように思えた。一部が麻痺したような頭で、「夫に知らせなくては」と思った。携帯メールを打っている途中に、液晶画面が見えなくなった。気づいたら、後から後から涙が溢れて止まらなかった。思わず声を上げた私を、娘が戸惑ったように見ていた。


「何で病気なんてものが存在するのだろう」という彼女の言葉を、今日いちにち、何度も頭の中で反芻していた。何で彼女が旅立たなくてはならなかったのだろう。彼女が好きな人、彼女を必要としている人はたくさんいたのに。なんで。なんで。なんで。


もう彼女の笑顔が記憶の中にしか存在しないことが、どうしようもなく悲しい。